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先日、アニメーション監督の高畑勲さんが亡くなりました。
言わずと知れた巨匠高畑監督、代表作は、
「かぐや姫の物語」「火垂るの墓」「平成狸合戦ぽんぽこ」「おもひでぽろぽろ」「じゃりン子チエ」などどんどん出てきます。
監督のご冥福をお祈りいたします。
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アニメ「赤毛のアン」の思い出
思い出深いのは、少女時代に見ていた「世界名作劇場」の数々です。
「アルプスの少女ハイジ」「フランダースの犬」「母をたずねて三千里」「ペリーヌ物語」
このあたりはよく覚えています。中でも最も好きなのが
「赤毛のアン」でした。
放送は1979年。アンは私よりお姉さんでした。
みずみずしい感性を持ち、生き生きと感情表現するアンが好きでした。
懐かしくなり、YouTubeにある「赤毛のアン」をもう一度見直してみました。
子どもの時に見た私は、おしゃべりなアンの言葉や表情が好きでした。
マリラはいつも怒っていて、アンのことなんか全然分かっていない怖い大人でした。
マシュウはいい人だけど気弱でおどおどした人。
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アニメ「赤毛のアン」全く変わっていた面白さ
大人になってみた「赤毛のアン」は、子ども時代に見たものと、面白さがまったく違っていました。
もちろんストーリーは同じ。
やせっぽちで赤毛のみなしごアン・シャーリーが、グリーンゲイブルスにもらわれてくるところから始まります。
男の子を欲しがっていた中年の兄妹のマシュウ・カスバートとマリラ・カスバートでしたが、間違って女の子のアンがやってきます。
マシュウとマリラは女の子のアンに戸惑い、はじめは孤児院に帰そうとします。
しかしすぐに感受性豊かでおしゃべりなアンに惹かれ、引き取ることになります。
大人になった今見直してみると、一番感情移入したのは、なんとマリラでした。
50代半ばくらいのマリラ。
常識人で真面目でカタブツ、頑固で働き者、料理上手。
アンのことをまるで分かってない大人と思っていましたが、一番アンのことが分かっているのはマリラだと分かりました。
アンが気が散りやすいのを良く分かっている
→ 集中して家事をやるよう厳しくしつけ、勉強もしっかりやらせる。
自分が子育ての経験がないのを自覚している。
→ 困った時はすぐに子だくさんのお隣、レイチェル・リンドに相談に行く。
(隣といっても徒歩で5分くらいは歩いていく距離)
マシュウがアンを甘やかしすぎるのを分かっている。
→ アンの教育は自分がやるので口を出さないようにと、マシュウにしっかり釘を刺しておく。
マシュウにはしっかり報告する。
→ 毎日アンの寝た後、マシュウに反省点などを話したり相談したりする。
(ツンデレなので素直にアンをほめませんがw)
この家の家長は明らかに、マシュウではなくマリラです。
中でも私の心を打ちぬいた、ダメ押しのカッコいいセリフといえば、
「やれやれ、お料理は結果が悪かったら何にもならないんだよ」
アンが
「あたしだって全力を投じてやったんですもの。
結果がどうなっても悔いはないの。」に答えての言葉です。
まるでキャリアウーマンのようなプロ意識ですね♡
マリラ先生、弟子にしてくださいと言いたいです。
こんなにすごいマリラを、子どものころはただ怖いだけのおばちゃんと思っていたなんて…
「親の心子知らず」ってこういうことだなあ、と思いました。
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マリラとマシュウのリアクションが楽しい
マリラのアンに対する表情がいちいち面白いのです。
マシュウのコミカルなリアクションも笑える。
今ではむしろアンのオーバーアクションな喜怒哀楽よりも、この二人を見てるほうが面白いです。
まさかそんな風に思うなんて、子ども時代の私には想像もつかないことです。
マリラの表情の細やかさがすごいんです。
ぶっきらぼうなことを言うマリラですが、行動でアンをかわいいと思っているのがわかる。
口ではアンをたしなめながらも、手は料理を差し出してやっています。
ピクニック1時間前でも、アンのために見事なお弁当を詰めてあげて、遅れないように馬車を走らせてやる。
ダイアナをお茶に招くようにアンに提案して、応接間を使うのはダメ、一番いいティーセットはダメと言いながらも、
「でもこれは使っていいよ」
「いちご水を出してやるといいよ」
と結果的にものすごく甘やかしていますw。
マリラの表情が、アンの言うことを聞くと、あきれたり面白がったり、忙しく変わります。
どんな時でも目はアンを見て、アンが話すと聞いていて、すぐ返事をします。
マシュウには、まるで愚痴を言うような口ぶりで、アンがいかに面白いか報告しています。
そんなマリラをマシュウは微笑んで、
「そうさな。きっとうまくいくと思うよ。」
「そうさなマリラ。おまえのやりたいようにやったらいいよ。」
などとほとんど肯定しかしないw
これってある意味理想の家族ですね。
父性=マリラ
※社会に向けて厳しく育てる愛
母性=マシュウ
※無条件に愛する愛
と完全に役割分担できてるし、うまく回っています。
マシュウとマリラの人生を考えてみる
マシュウは女性が苦手で結婚せず、ずっと生まれた家に住んでいます。
マリラは(推測ですが)そんな兄マシュウの面倒をみるために結婚せず、やはり生まれた家にマシュウと二人で住んでいます。
マシュウは農業、マリラは家事や料理を、毎日同じペースでこなしています。
隣家までの距離も遠く、マリラの友達といえば隣に住むレイチェル・リンドくらいのもの。
二人にとって、周りの環境も当たり前のもので、むしろ退屈なものでしょう。
そんな二人の前に現れたアンは、ここの自然がどんなに美しいか興奮して語ります。
池に「きらめきの湖」、通学路に「恋人の小径」、植木鉢の花にすら「ボニー」と名付けて話しかけます。
花や楓を持って帰り、どんなに美しくすばらしいか熱く語り、テーブルに生けて愛でます。
マシュウは、アンを家に迎える馬車の中での会話だけで、アンにすっかり惚れ込んでしまいます。
マリラは、アンを孤児院に帰す道すがらの馬車で、アンのこれまでの不幸な境遇を聞いて考え直します。
アンのこれまでと比べて、自分たちの住むグリーンゲイブルスが、どれほど美しく幸せな場所か分かったのかも知れません。
マリラはアンを育てると決意します。
(この子はうちに置いてやらなかったら、どれほど不幸せな目にあうか分かったもんじゃないよ。
男の子でないのが残念だけど、うちが引き取るしかないね。) ←マリラ心の声 ※推測ですw
マリラの素晴らしさ
教育熱心
マリラはお祈りの仕方すらろくに知らないアンに仰天します。
「マシュウ・カスバート!
あの子がお祈りしたことがないなんて、信じられますか!?」
マリラはマシュウに、アンの教育を任せて口を出さないように言い、アンにいろいろ教えます。
・家事 (ベッドの整え方から、食器洗い、熱湯消毒など)
・料理 (チョコレートブラウニーの作り方など)
・パッチワーク
・勉強
余談ですが、マリラの教えるチョコレートブラウニーのおいしそうなことと言ったら。
高畑勲監督は食べ物がおいしそうなことで有名ですからね。
マリラは、アンに家事だけでなく、勉強もしっかりやらせるのがすごいですね。
アンと同じ学校に通う男の子たちは、農繁期にはほとんど学校へ来ず、家の手伝いをしています。
女の子には勉強など必要ないと言われても仕方ない時代に、勉強の重要さが分かっているのです。
マリラは正直で真面目で実直
マリラは嘘は言いません。
空気を読んだりおだてたりすることなど一切ありません。
友人レイチェル・リンドにも、正直に自分の気持ちを話します。
女の子なんて引き取らないと言っていたのを、2日後にはアンが気に入ったので引き取ることにしたと、ごまかしもなく話します。
レイチェルがどんなに驚愕して、やめた方がいいと説得してもぐらつきません。
レイチェルがアンの養子やしつけのなさを侮辱すると、
「あんたもアンにずいぶんひどいことを言ったと思うよ。」
としっかり抗議します。
頑固一徹で、一度決めたら考えを変えずやり抜きます。
余談ですが、この頑固さはアンもそっくりです。
アンだけではなく、ダイアナの母のバリー夫人も相当に頑固。
これは作者モンゴメリーの性格が反映されているのかも知れませんねw
お国柄かも知れませんが、どの女性も自立した考えを持っていて、日本人女性のように、空気を読んだりへりくだったりなんてことは一切ありません。
マリラは毎日規則正しく生活している
マリラもマシュウも、毎日、毎年、同じスケジュールをきちんとこなします。
夜明け前に起きて、鶏小屋の卵を取ってきて、オーブンで朝食を作る。
時間通りにお茶とおやつを用意する。
夜はお祈りをして、アンの部屋のろうそくを取りに来る。
大人になった今は毎日同じがいかに大事で、難しいかよく分かります。
私は気分が変わりやすいため、ほんの1週間ですら同じにすることが難しいですね~。
そうだマリラをメンターにしよう
マリラがこんなに尊敬すべき人だと知った私は、マリラをメンター(お手本)にすることにしました。
考えると、日本人の年上女性で、身近にお手本にしたいと思える人は少ないです。
(もちろん少数はいます。)
なぜかというと、彼女たちの生きた時代は、激しい男尊女卑の時代であり、その影響が大きいからと思います。
自立を許さない環境だったので仕方がありません。
実在の人物でなくても貴重な年上女性です。
めざせマリラ!
マリラの以下の点をお手本にしたいです。
・必要以上にへりくだったり卑屈になったりしない。
・空気を必要以上に読まない。
・自分の無知は認めて先人に教えを乞う。
・毎日規則正しく生活する。
・料理は結果が大事。
・言葉は正直に、ごまかさない。
・やると決めたら最後までやる。